願望実現③-接続と刺激
男はその後も、幸せな状態を何事もなく、スムーズに継続していた。
そんなある日の事…
男はいささか退屈さを感じ始めていた。
「確かに俺は幸せになった。しかし、これでいいのか?何か刺激が足りない」
ゲームを刺激的なものに変えても、この乾きは癒やされなかった。
そこで男に、1つの疑問が生じた。
「俺は実際には何もしていない。ただ眼と指を動かしているだけだ。
にも関わらず、脳内物質により幸せを感じている。これは脳が接続されている(繋がっている)、ということではないのか?」
そこで男は「試してみる価値はある…」と思い立った。
ゲームを一旦辞め、人と人とが繋がるというSNSをはじめてみることにした。
すると…
「いいね!」のボタンを押した時、そして押された時、そのどちらでも脳内麻薬が生じることが確認できた。
男は歓喜した。
「なるほど。これでも幸せになれるのか!」
しかしその内、男には不満が出てきてしまった。
「ちぇ、今日のいいね!はこれだけか…他のSNSの観覧数も再生回数も少ないな…」
どうやらまた、男の脳内への刺激が少なくなってきたらしい。
「よし!それなら、徹底的にやってやる!」
男は強く決意し、注目を集められるよう、手段は問わずやれることは全てやることにした。
その結果…
男は幸せな気分になっただけでなく、お金も入り、更に有名人になることもできた。
そう。男はいつの間にか、世の中でいう「成功者」という幸せを、手に入れることができたのだった。